透明彫刻の仕事
最近は、「透明彫刻」の仕事が多い。大きな塊を在庫してしまっている、という動かしようがない事実も関係していると思うが、大きな作品をつくると、中くらいの塊や小さな破片がまた生じる、という循環が起きる。
そこで、ご依頼がある仕事をこなす度に生じた中くらいの塊や小さな破片を「ご依頼の無い」仕事で「使用する」もしくは「始末する」という事が必要になってくる。この事もボクを最近透明彫刻に向かわせている理由であるのです。
「始末した」結果は、ご依頼がないために「アート物件」となって在庫になるのだろうと思われるのですが、ここでは、その写真を一部公開して、皆様からの反応を見たい、と思う。また、自分でも作りつつあるものを整理して次に進めるステップとしてみたい、と思う。
ここに公開するのは、「波」です。
「波」は、これまでもボクの研究テーマでしたが、こんなに立体化したことは、今回が初めてだ。
とは言え、変な立体化であることは、写真からもあきらかです。
高さは59センチくらいですが、厚みが19センチくらいしかありません。長さは約1メートル。重量はおそらく40kgくらいと思われます。
もともとの形が「あまり」なので、そこから出発して制作している。
イメージとしては、葛飾北斎「富嶽三十六景」の「神奈川沖波裏」をベースにしていますが、印象は随分異なります。
アトリエでこれを見た人が、「確かに波 だが、ライオンのようでもある」と言ったので、「ライオンウェーブ」と名付けるかなぁ?なんぞと思っています。
当たり前のことですが、立体というのは、写真を撮る角度で印象が大きく変わります。
真横から見ると、絵画的ですが、見下ろしたり、見上げたりすると、ぐっと動いて見えます。
しばらくこんな事を楽しんでみようか?と思います。
なにせ、ご依頼のない作品をつくるのは、随分と久しぶり。当然ながら「納期」もない。誰も期待などしていないから、途中でぶっ壊してもいい。かなり自由だ。こういう事をしていると、何がボクの中から出てくるだろうか??「本性」というものが出るんだろうか??
「アートワーク」としてご依頼のある仕事は、かなり理性的に制作作業をするが、こういうご依頼のないアートでは、「うぎゃぁー!」っとやっちまうのかもしれない。
しばらく「うぎゃぁー!」を存分にやってみよう(笑)